久米繊維工業のTシャツについて考える

ここ2年ほど、ほとんど在宅勤務しているので、着る服が限られてくる。

夏場は決まった3枚のTシャツをルーティーンで着回して、下は短パンで良いので、会社に行っていた頃に比べるとかなり楽だ。

しかし2年間もこの状態となれば必然的に服にもダメージが溜まり、Tシャツもヨレたり擦れたりしてくる。

(それはそれで柔らかくなって好きなのだけど、家族からは不評・・・)

皆さんは古くなった服をどうしているのだろう?

私はウエスにすることが多くて、特にTシャツのようなコットンで薄手だけどしっかりした生地は吸水性も良いので洗車にも重宝する。

コットンをリサイクルする技術もあるのだけど、リサイクルするのにもエネルギーを使うし、使い古した状態で使えるのであれば、なるべくその状態で使い切った方がいいというのも、一つの考え方だと思う。

私の場合、古くなったシャツを裁ち鋏で切って、汚れを拭いて最後まで使い切ってから捨てるのはすこし達成感もある。

そんなわけでこの2年で数枚のTシャツがウエスになったりリサイクルに出されたりしたのだが、当然、着ていたものを捨てたら足りなくなってくる。

夏はもう終わるし半袖シャツの出番は少し減るだろうということで、狙うはロングTシャツ。

ユニクロでも無印でもセレクトショップでもなく、こだわりを感じたい。

環境に配慮していて、長持ちすることも大事。できれば日本製。

でも価格はなるべく抑えたい。

そんな中見つけたのが、東京都墨田区に本社を置く久米繊維工業のTシャツ。

日本においてTシャツがファッションの地位を確立していなかった1935年に創業し、色丸首のTシャツを日本で初めて世に送り出したという老舗の国産Tシャツメーカーだ。

さまざまなブランドとコラボしているので、Tシャツ好きなら一度は名前を目にしたことがあるかもしれない。

直販ECサイトもあって、現行のラインアップをはじめ、会社のポリシーや取り組みも見ることができる。

品質が良いものを作るというのはもちろん、熟練の職人が手間をかけて作っている様子が動画でアップされていたり、オーガニックコットンを使ったサスティナブルラインのことや、グリーン電力を選んで使っていることなども記載があって、社会的責任とブランドをよく考えているのが伝わるので、好感が持てる。

特に良いと思ったのが、サスティナブルラインの製品情報に糸や生地のメーカーが記載されていること。

久米繊維工業株式会社
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普段あまり目にすることがない企業名や産地が並び、生産工程の透明性を大事にしていることがわかる。

服づくりは綿の栽培や繊維作りから始まり、糸や生地を作り、染めて織ったり編んで、縫って検品してと、作るだけでも工程が多く、「オーガニックコットンを使ってます」だけでは本当にサスティナブルかわからない。

何をもってサスティナブルとするのか、その模範解答はまだ出ていないけれども、作り手がどう考えているのかを伝えることは、消費者の意識を変えていく上でとても大事なことだ。

(生産工程における透明性という点では「Everlane(エバーレーン)」も注目したい)

そして、それをリーズナブルな価格で販売している点が素晴らしい。例えば、サスティナブルラインのカーディガンは税込12,100円(2021年9月時点)。

オーガニックコットンの糸を旧式の吊り編み機で生地にして、貝ボタンを付けて、仕上げまで日本国内で行ってこの価格はお得感がある。

実際に手に取ってみると、やや薄手ではあるが生地がきめ細かく、肌触りが良い。

スウェットなので伸縮性もあり、かつ伸び過ぎなさそうなしっかり感もある。

季節を跨いで、長い期間着られそうだ。

トレンド最先端を走るハイブランドはこぞって環境に配慮した取り組みを発表しているが、ハイブランドの動きに賛同して購入できる人はごく一握りだ。

多くの人が買える価格帯で製品を作っていくことは、意識の浸透や適切なものづくりで生み出された製品の普及に欠かせないポイントだ。

もちろん、ちゃんとした理由があって高額なものもあるし、それはそれで適正価格として売っていくべきだが、全てがそうだと手が届かない人も多いから、エントリーモデルも必要なのではないかと考えている。

何より服は日常のものなので、ガンガン使うのに躊躇しない価格というのは大事な要素だ。

その点、久米繊維工業の製品はとてもバランスが良い。

着心地や品質、サスティナブルな製品にはこだわりたい。

でもそんなに高い服は買えない。

そんな方にお勧めしたいファクトリーブランドだ。

久米繊維工業株式会社

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